長内歯科ホーム

選ばれる医者 その1

美人Dr.

医学に携わる人間の一人として、今求められているのは・・・

 「病(やまい)よりも人を診る目を持って、個人ごとに治療計画を立て治癒に導く」能力である。
  俗に言う名医とは、一見、病(やまい)を治癒させて患者さんに健康をもたらしていると思われがちだが、果たしてそれだけであろうか?
 実は、違うのです!
  「名医は、病よりも人間を診ているのです。」 特に生活習慣病と言われる病に関しては、病だけを診ている医者との間に確実に結果の差が生じます。

 に苦しむ患者さん達には、たとえ病名が同じであっても、性格も体質も一人一人違えば、その周りを囲む生活環境、生活習慣まで何もかもが違うのです。つまり病にプラス個人差という要素が加わるのです。したがって、このプラス要素にもアプローチすることが、病と闘うにあたって大切なのです。

 糖尿病の診断を受け通院されている方、血糖値を測っては簡単なアドバイスを受け投薬されてまた次回の検査の約束をして終了。お医者さんが診ているのは、検査結果の数値ばかりではないですか?あなたの生活習慣を把握した上で、的確なアドバイスをしてくれますか? 最後は薬を飲むだけで、患者さんは病と闘う気持ちになれますか? そして皆さんは、「糖尿病がどんな病気なのか」理解していますか?健康に関して興味を持ち、自らの強い意志で病と闘っている人のみが、良好な結果を得ているのが事実で、関心のない人は古い体質の医療を受けるばかりで、治癒に導かれていません(ダメな患者として片づけられ、医者も見放してしまいます)。比較的自覚症状のない「糖尿病」の治療は、「・・・しないと失明するよ」、「足を切断することもあるんだよ」と言う脅し的な言葉や「血糖値のコントロール目標」を伝えることで患者さんの興味をひこうとするやり方ではなく、病という敵を知り、医者と共に闘うようにうまく導く事が大事なのです。これが出来る医者こそ「名医」なのです。

 口の中の病に関しても同様なことが言えます。
  「虫歯」や「歯周病」・「入れ歯の不具合」で、患者さんが来院されたとしましょう。他にもいろいろ主訴はあるでしょうが、歯の場合は医学的な全身疾患と違って、その分類は単純です。
 「病」だけを診た場合、検査をしてそれぞれについて病状の説明があり、皆さんが了承すると治療がスタートします。ちょっと気の利いた医院では「予防についての説明」とその取り組み方も説明してくれることでしょう。ここまでは皆さんがどこででも体験することのある歯科医療です。
  この程度で、皆さんは「親切・丁寧だ。すぐ終わって上手い」などと言って満足しているのです。これは、病だけを診ているケースの良い例です。
  そして、数カ月~数年後に再発が起こるのです。
 なぜなら根本から病を叩いていないからなのです。
 皆さんはきっと「また悪くなったから、あの先生に診てもらおう!」と来院するでしょう。もちろん過去の経験から信頼しきっているでしょうから、また病を診てもらうのです。永遠にこの繰り返しが続くのです。
  果たして、これで良いのでしょうか?「患者さんを本当に診ているのでしょうか?」私は真の医療とは、もっと別なものだと思っております。
 先程も触れましたが、個人差を考慮すべきなのです。

 では、患者さんには、どんな個人差があるでしょうか?
 年齢・性別・職業(勤務時間)・性格・体質・家族構成・かかっている全身疾患・健康観(変化するので注意)・食事の時間や回数・歯磨きの時間や回数・歯の残り方・歯並び・美に対する意識・・・と、もうあげたらきりがありません!
  問診から得られる情報や、時には世間話から得られる情報、とにかくたくさんの情報収集(会話やコミュニケーション)をして、先ずは患者さんを診る必要があります。そこに病を引き起こす根本原因が隠れている可能性が大きいのです。
  根本原因を取り除いて健康を得るには、患者さんを診なくてはなりません。
  「病を早急に治して患者さんの満足を得る」のは、確かに大事なことですし、優先すべき事です。しかし目先の評判や満足にとらわれず、「真の医療」を目指すのならば、患者さんと共に口腔の健康について考え、敵となる病を知り共に闘うように導く事が、その患者さんの長期的な健康維持のためになるのです。
  ただし、患者さんはそういった治療に慣れていませんから、「とっとと治して終わって欲しい」「回数や時間がかかって下手くそだ」「歯ブラシの細かい指導なんてうざったい」などと、時には悪評につながるような思いをするでしょう。
  これは仕方のないことなのです。 患者さん側が「慣れていない」からなのです。
  医療者側は、この悪評につながりかねない治療法を恐れます。当然の思いです。
  「一生懸命患者さんのことを思って取り組んでいるのに、患者さんがついてきてくれない・・・」という思いをするでしょう。私も現在のような試行錯誤の結果確立したシステムが整うまでは、そういう経験をしたことがあります。
  「医療としては間違っていないのに、何でだろう?」って、何度も思いました。

 しかし諦めずよく考えてみて下さい。「誰でも健康を欲しています」。 喫煙者も肺ガンになることを望んではいません。暴飲暴食者も糖尿病になりたいとは思っていません。歯磨きがいい加減でも、歯周病で歯を失いたいとは思っていません。
  病だけでなく患者さんを診ていると、たくさんのことが見えてきます。
  根本から叩くことは簡単ですが、そこへ至るまでの方法は、教科書で習うわけでもなく大変困難な道のりです。しかし上手なアプローチをマスターすれば、「誰もが健康を欲している」わけですから決して不可能な方法ではなく、将来的には、処置が少なくなって治療そのものが楽になるのです。

 患者さんの長期的な健康維持のために、病を知った上で患者さん本人がすべきこと、医療者側がすべきこと、それぞれ考えを出し合って協力し、取り組むように導いてあげることが何よりも患者さんのためになるのです。もっと大きな満足が得られます。それが出来る医者こそ「名医」なのです。私はそういう歯科医を目指しています。 皆さんも、もっと上の健康を勝ち取りましょう。

  [従来の治療の良くあるケース]
  • 6歳、臼歯の虫歯発見 → 削って詰める
  • 中学生の頃、詰めた付近に虫歯を発見 → 更に大きく削って詰めなおす
  • 職について忙しくなり、詰めたところから虫歯が広がったまま放置する、
    • 痛みが出るも更に放置 → 神経を取り、銀歯を被せる
    • 数年後、歯の根元に痛みが出たり、歯が浮いた感じもし出す
       → 根の治療を行って被せなおすか、歯ぐきの治療をする
     
  • 中年になってから、歯茎から出血があるも痛みがないので放置・・・
    • ときどき痛みや腫れが伴うようになるので相談
       → 歯ぐきの治療とブラッシング指導を受け、治まる
    • 数ヶ月~数年後、歯がグラグラしてきて咬めなくなり、痛みも伴う → 抜歯をする。両隣の歯を削ってブリッジを入れる
    • 数ヶ月~数年後、両隣の歯茎から出血があるも痛みがないので放置・・・ときどき痛みや腫れが伴うようになる
    • 数ヶ月~数年後、歯ぐきの治療とブラッシングの指導を受け、治まる
    • 数ヶ月~数年後、ブリッジがグラグラしてきて咬めなくなる、痛みもある → 抜歯する。痛みが取れ、部分入れ歯を入れる
    • 数年後、入れ歯の金属を引っかけた歯が動き出し、歯茎が痛む
       → 歯ぐきの治療を受けるも改善せず、とうとう抜歯へ至る
       → 複雑で大きな入れ歯に作り替える
    • 数年後、同じようなことが起こり、歯ぐきの治療をするが、また抜歯へと至る
       → 繰り返して総義歯に至る
       → 若いときのように美味しく物が食べられない
 ちょっと極端な流れではあるが、これが歯の一生となってしまう。

  昔から「歳いったら、歯がダメになる」と言いますが、果たしてそうでしょうか? このケースで、ダメになった理由は明らかです。原因を根本から叩かずに、その都度その都度、症状を無くすだけの対症療法を行ってきたからなのです。
 原因を叩くチャンスはいくらでもあったはずです。虫歯になる前にも虫歯になって詰めた時でも、歯周病になってしまった後でも、チャンスはあったのですが、それに取り組まなかったために、総義歯への道をたどることとなりました。
  患者さん側も、その都度その都度、症状が改善したために満足が得られ、「何でこうなったのだろうか」と大元に気が付かなかっただろうし、原因を知ることもなかったのです。「失って気が付く歯の大切さ」では遅いのです。

 原因の除去無くしては、確実に上のような経過をたどります。年輩の方に入れ歯を入れている人が多いのはこのためです。すでに、このどこかに該当する方がいるかも知れません。確実に総入れ歯への道へ進んでいるのでしょうが、まだまだ遅くはありません。原因を叩くことに我々と共に取り組んで、ストップさせましょう。


選ばれる医者 その2

 「抜いてもらった」「抜かれた」の違い

 この文章を読んだ患者さんの皆様、皆さんは歯医者で歯を抜いた場合、それを第三者にはどう伝えますか?

  「歯医者で歯を抜かれた」と言う方もいれば、「歯医者で歯を抜いてもらった」と言う方もいると思われます。不思議なことに当院の新患患者さんの多くは、私が歯のないところに関して「ここの失った歯はどうされたのですか?」と問診しますと「以前通っていた歯医者で歯を抜かれました。」とか「もうもたないと言って抜かれました。」「グラグラしていたので抜かれました。」「だいぶ前にゴンゴン叩かれながら抜かれたよ。」なんて言う返答がほとんどです。
 極まれに「・・・だったので抜いてもらいました。」と言う返答が返ってきます。ただこの場合、もともと言葉遣いが丁寧な患者さんに多い話し方による丁寧な表現方法だと言う印象を受けます。問診や主訴からは、抜いた先生への感謝の意は全く伝わってきません。
 従って、ほとんどの方は表現方法の違いはあれ「歯を抜かれた」と言う印象を持った患者さんが多いと思われます。これは医療従事者サイドにとっては、非常に寂しい現状です。何か悪いことをしたような気持ちになってしまいますよね。

 ではなぜこういう表現が広まってしまったのでしょうか?どういう心理がはたらいているのでしょうか?私なりにいろいろ考えてみました。

 皆さんが(仮に男性なら床屋または理容室、女性なら美容室などで)髪を切ったとします。それを友人に指摘されたとします。「君のその髪凄く似合っているね!どこで切ったの?」と言われたとします。これに対する答えは「○○理容室で切ってもらったよ。」と満足気に答えるでしょう。逆に「何その髪型、何か変だよ。」なんて指摘をされ、本人もちょっと自覚していようものなら、返事は対照的に「○○理容室で、切られたんだ。」と言う表現に変わってくると思います。それを聞いた友人は、決してその理容室に行こうとは思わないでしょう。前者であれば、「今度その理容室どこなのか教えてよ」なんて話が展開するかも知れません。いわゆる「口コミ」ですね。
 以上のような表現の違いにはズバリ「納得具合」・「満足度」が関わっていると思います。髪を切る(カットする)行為そのものに両者の違いはありませんが、「満足度」が絶対的に違うために起こる表現の差と考えられます。

 では、歯ではどうでしょう。抜歯行為そのものに変わりがないにも拘わらず先に述べたような表現の違いが現れるどころか、圧倒的に「抜かれた」と言うニュアンスの表現を用いる方が多いのは、抜歯そのものに「負(マイナス)のイメージ」があるからなのでしょう。まさか第三者に「歯が無くなったけど似合ってるね」なんて誉められることはありませんよね。まあせいぜい、以前から苦しんでいた歯を抜いてもらった場合に「抜いてもらって(楽になって)良かったね」といわれるくらいでしょうか?
 ただし抜歯に関して「プラスイメージ」には、とうてい結びつきそうもないですよね。歯を抜いた方は、帰宅後だいたい家族に話す機会や、会社を抜け出して通院した場合は、戻った後に同僚や知人に話す機会があると思います。
 この口コミとして「負のイメージ」を広められてしまっていることに我々歯科医師はもっと気が付くべきなのです。


 ちょっと話が逸れますが、他にもいろいろなことに気が付きましたので、以下に例を挙げてみます。

 ・ お医者さんに癌を取ってもらった。(プラスのイメージ)
   癌を取られたとはあまり表現しない
 ・ 乳ガン手術で乳房を失った。(マイナスのイメージ)
   乳房を取ってもらったとは表現しない
   悪性腫瘍の切除目的という行為に変わりはない
 ・ レントゲン検査をしてもらった。(ややプラス寄りだが微妙)
   窓口で1万円支払った(微妙)
 ・ レントゲンを撮られた。窓口で1万円取られた。
   (マイナスのイメージ)
   診断のための各種検査とそれに伴う窓口料金の支払い
 ・ 「歯をもっと磨けと言われた」(威圧的なマイナスよりのイメージ)
 ・ 「歯の磨き方を教えてもらった」(プラスのイメージ)
   具体的なブラッシング方法や予防の話
 ・ 「歯を抜いた後に入れ歯を作ってもらった。」(プラスのイメージ)
 ・ 「歯を抜かれて、入れ歯を入れられた。しかも、合わないので
   はずして今は全然使っていない。」(かなりマイナスのイメージ)

  同じ内容でもその後の表現方法は、抜歯以外でもいろいろあるものですね。


 話を戻しますが、歯科医院に関する広告のような記事やホームページを見ていると、よく「歯を(なるべく)抜かない」とうたった医院を多く目にします。私は毎日臨床を行っておりますが、実はこんな事はまずあり得ません。正直抜かねばならない症例は存在します。各医院で違うのは、「抜歯基準」だと思います。A先生が抜くという診断をしました。しかしB先生は抜かずに何とかなるという方針の下、結果的に抜かずに済んだとします。このB先生に当たる方々が、先のようにうたっているだけで、B先生であっても抜かねばならない症例は存在しているはずです。本当に抜かないのであれば、「当院は、どんな場合でも歯を絶対に抜きません」と断言するでしょう。しかしそう言うことはあり得ないので、このようにうたえば、虚偽の広告とされてしまうため、絶対なんて言葉は用いないのです。
 結局「抜歯の持つマイナスイメージ」を広めたくないとか、よりプラスイメージとして広告したいという意図から、「歯を(なるべく)抜かない」という患者さんを惑わせかねない表現になっているのでしょう。

 このように医療サイドは、抜歯の持つマイナスイメージに関しては、分かっているのだと思います。広まるのも嫌だと思っています。しかし同じ行為でも表現方法の異なる場合が存在するのであれば、何とか広告で広めると言う手段だけではなく、残念ながら抜歯に至らなければならない患者さんに対して、プラス思考でとらえてもらおうと何故努力しないのでしょうか?

 当医院では少しでも多くの患者さんに「歯を抜いてもらった」と表現してもらいたくいろいろ励んでおります。
 当院では、先ほどの「抜歯基準」に関しては、かなりの高いレベルで「歯の保存」に向けての努力をしております。実際に抜歯を免れ喜ばれるケースも多く経験しております。これは、院長の私やスタッフの知識や経験、さらに技量による抜歯基準もさることながら、本当に厳しい状況の歯を保存するにあたって、患者さんにも積極的に予防に参加・協力してもらう事で成り立っております。それでも初診から早い時期に抜歯に至るケースは存在しています。
 そこで、抜歯する理由または保存できない理由をしっかりと伝えます。納得するまで各種ツールを用いて分かりやすく説明を致します。それによって初診時にいきなり抜歯を依頼されることもあります。ただし急性症状がなければ、レントゲン検査結果や私の説明内容を書いたメモなどを持って帰宅してもらい、考えてもらっています。別に診断結果を持って他院へ行っても構わないと思っております(セカンドオピニオン)。次回の予約は電話連絡をもらって、本人に決めてもらうことも多くあります。つまり、「最後は患者さん本人が抜歯を選択し、依頼された私が抜歯をする。(医療としては当たり前ですが・・・)」そして「抜いた部分をどういうふうに補っていくか、そして今後、同じような歯を二度と作らないためにはどういう取り組みが必要かを理解してもらいます。」この2点が大事なのです。これでかなり抜歯を前向きにとらえてもらえることが多くなってきます。
 抜歯を宣告された患者さんは、ただでさえマイナス思考に陥りがちです。説明中に肩を落として話を聞いている方もおります。しかしマイナスをプラスに、つまりプラス思考にとらえてもらうことで、気持ちが切り替わることがほとんどです。マイナスイメージのまま抜歯当日を迎え、私にその雰囲気が伝わってきた場合には、「やっぱり抜くのを止めますか?」と再度確認することもあります。ただし話を聞くと、「抜くのはいいのですが、抜くのが怖くて緊張してるんです。」という答えばかりで、抜歯に反対と言うことはまずございません。

 以上のような感じで、プラスにとらえてもらえる患者さんが増えれば、「歯を抜かれた。」と言う表現をする人よりも「歯を抜いてもらった。」と表現する方が圧倒的に多くなっていくと私は信じております。それらは口コミにも直接関わることですし、我々歯科医師は、安易に「なるべく歯を抜かない」などと広告する前に、抜歯の持つマイナスイメージという先入観にとらわれず、地道に努力をし、説明には十分な時間を費やし、患者さんの納得のもと、依頼を受けて初めて抜歯し、残った歯に関しても最後まで面倒を見るべきだと思います。
 非常に根気もいるし、難しい取り組みですが、若い先生には取り組んでいただきたいと思っております。

 最後に、患者さんサイドも、安易な広告に惑わされず、脅しめいた説明ではなくご自身が納得できる医院での治療を依頼するよう、是非心がけていただきたいと思います。


選ばれる医者 その3

恐るべき現代病

  1. 皆さんの身内に「歯ぎしり」をする方はいないだろうか?
  2. 皆さんは、朝起きると奥歯が浮いている感じがするとか、こめかみ付近の側頭部に痛みを感じたりすることはないですか?
  3. 皆さんは日中、何かに集中しているとき、奥歯に力が入っていませんか?
  4. 皆さんは、食事をする際に必要以上の力で咬み、すぐに飲み込んではいませんか?(例えばご飯は、そんなに強く咀嚼する必要がないのに、まるで肉を食べるかの様に、力一杯咬んではいませんか?そして、さっさと飲み込んでいませんか?)
  5. 皆さんは、「よく咬んで食べる」の意味を誤解していませんか?(食物は、?み砕ける最小限の咀嚼力で、時間をかけて回数を多く咬み、それから飲み込むのが正しいのですよ。)
 これらの一つにでも当てはまることがあるならば、迷わず当院を受診することをお勧めいたします。

 1と2は、「歯ぎしり」や「食いしばり」というもので、現代人特有の「ストレス」から来ることが多いと思います。人間関係でしょうか?仕事のプレッシャーでしょうか?最近では低年齢化が進み、小さな乳歯列のお子さんでも、保護者が心配するくらいの歯ぎしりをするお子さんまでいます。
 3は、「かみしめ」癖とでもいうのでしょうか?自己観察してみてください。車の運転中、スポーツや家事をしているとき、いろいろな場面で、気がつくことでしょう。
 4と5は、広い意味で同じですが、これも自己観察してみてください。現代人は時間に追われ、食事の時間が短くなっていると思います。歯ごたえのある物も減り、ガツガツ数回咬んでしまえば、粉砕され、飲み込んでしまうのです。これはもう食生活の変化と習慣でしょう。ほとんどの方が当てはまると思います。

 実はこれらは単体では何も恐ろしいことはありません。ましてや病気でも何でもありません。
 では、何が恐ろしいのでしょうか?キーワードは「ストレス」「歯牙にかかる過度の圧」「歯周病」です。
 現代人には「ストレス」が多くかかっているといわれており、時にそれは体内の免疫機能を低下させたり、自律神経の調節機能を低下させることが知られております。ストレスは様々な全身疾患を発症させ治癒を遅らせるばかりか、最近では内科以外だけではなく精神的に病んでしまう人も増え、メンタルクリニックと呼ばれるところでの患者も多くなっています。
 口腔内においては、唾液の分泌量が減り、唾液の持つ免疫機能が低下します。また「歯ぎしり」や「食いしばり」が強く起こることがあります。また現代人の特徴として、「歯を食いしばる」とか「力一杯咀嚼する」と言う癖というのでしょうか?習慣と言った方が正しいのでしょうか?自己観察してもらうと、ほとんどの患者さんで自覚されることが多いです。
 ではここに歯周病を絡めていきます。歯周病については別なページでも掲載しておりますが、細菌感染により歯を支える骨が吸収し、歯がぐらつき、最終的には抜け落ちると言う病気です。他のページで何度も言っておりますが、これは成人の8割以上が罹患している現代(の生活習慣)病です。また最近では、広い意味で初期の歯周病とも言える「歯肉炎」の低年齢化が進み、早い子で3歳くらいから罹患しているばかりか、健康にはあまり関心のない10代で、歯周病が広くまん延しているのをよく見かけます。
 ただし歯周病は、一度感染すると、健常者に比べて予防がものすごく大変なのですが、正しい診断とアプローチを行えば予防できる病気であると私は思っております。しかし、ここに先に挙げた「ストレス」「歯牙にかかる過度な圧」が絡むと一気に難病(難治性の病)になってしまいます。実際に歯周病の分類では、歯周病全体のうち2割の割合で「難治性歯周炎」と言うのが存在しております。これはまだはっきりと断定されていませんが、私が経験の浅かりし頃にお世話になった師は、難治性歯周炎には、「ストレス」や「歯牙にかかる過度な圧」が関わっていると唱え、これらにもアプローチを行い「難治性」じゃない病気にしているのを私は目の当たりに致しました。その後私もいろいろと経験を重ね、今や歯周病治療をウリに出来るほどになったと思っておりますが、この難治性という部分に当たることは多々あります。おそらく、この2割という数字は、外来受診者で言えば、もっと高い割合になると思います。国民成人の8割。そのうち歯医者に行くのは数割、この受診者の中にまるまるほとんど2割と言われる「難治性歯周炎」が含まれているのではないかと思います。
 あまり「難治性」とばかり連呼すると、私の腕を疑われるかも知れませんが、それは患者さんの希望を極力尊重し、抜歯という選択を最後までせず、患者さんと一緒に戦っているからであります。「治らないねえ」とか言って、どんどん抜いてしまい、一時的に重症な歯がなくなった(=症状の軽減、治癒?どこが?)と言う選択をする歯科医院も多いでしょう。こういう選択は、結局治していないのだから、「難治性」だと言う自覚もないと思われます。もちろん抜歯が全て悪いとは思っておりません。抜いた歯から原因を学び、同じ歯を作らないようにする努力をするという前向きな抜歯もあるのです。
 私は、3年で1400人ぐらいの患者さんと接してきましたが、自分にとって難治性と感じた症例は、10人いませんでした。逆に言えば10人程度いたとも考えられますが。なぜ、難症例を減らせたかと申しますと、先に挙げた1~5への積極的なアプローチを治療に取り入れているからです。これにより歯周病の悪化に絡む複雑な因子を取り除き、歯周病を単体で治療することが出来るようになったからです。(これには、私だけではなくスタッフ、患者さんと共に相当の努力をしたからだと思っております。)
 ただし、治癒の難しい10名ほどに関しては、自分の師の元へ紹介したり、今まだ患者さんと共に戦っているケースもあります。そう考えると私と患者さんが苦戦しているのは、もはや難治性というレベルより「超難治性(正確な分類ではないが)」と言う部分なのかも知れません。(ちなみにこの「超難治性」と言いたくなるような歯周病には、1~5の他に精神疾患や顎関節症と言った疾患がさらに複雑に関わっている場合だと思っております。)
 ちょっと話が逸れましたが、もう一つお話ししておきたいと思います。
 理由があって過去に奥歯を失い、現在総義歯もしくは部分義歯を入れている方にも、現代病の恐怖が襲ってきているのを目に致します。
 これも例を挙げてみます。下あごの両奥歯を数本失い、部分入れ歯を入れているとします。どこで、何度作製してもしっくり来ず、食事の際に歯茎に痛みが出ると言う主訴をよく耳に致します。かみ合わせを含めて、義歯全体が安定していなく、歯茎に傷がある場合は、それらを安定させて歯茎の弱い部分の当たりを弱めてあげると落ち着くことが多いのですが、義歯の安定があるにもかかわらず、原因不明の痛みが継続する人がたまに現れます。こういう場合の特徴は、長年古い入れ歯を使用していたとか、人工の歯の部分が異常にすり減っているとか、義歯が緩くなりやすいとか、金属部分が壊れるとか、いろいろあるだけでなく、よく話をしてみると、奥歯を失った理由が歯周病ではなく、かつて根がしっかりしているにもかかわらず、どんどん歯を抜いてしまっていた時代に失ったと言う点があげられます。
 カンの言い方でしたら、お気づきかも知れませんが、この原因不明の入れ歯の痛みは主に、「過度な咬合圧」から来ていることがほとんどです。「過度な咬合圧」がかかるから、歯茎を慢性的に痛め、歯はすり減ります。やがては歯茎(骨も)も痩せていきます。するとますます咬む圧を受け止められなくなります。それが痛みに繋がるのです。まして、歯周病でぐらついた歯を抜いているわけではないのですから、脳や筋肉はまだ、歯を失ったことに気づいていません。いまだに奥歯があるつもりで、入れ歯でガンガン咬んでしまうのです。(もちろん条件によっては、ガンガン何でも咬める方もいます。しかしそう言う方は痛みを主訴に歯科に来院することはほとんどありません。壊れたとか、古くなったからとか、周囲から評判を聞いてとかという場合がほとんどです。)
 我々はよく、「硬いものを食べませんでしたか?」と問診することがあります。しかし必ずしも硬い物だけが要因ではないことがあります。先にも述べましたが、白米ですら必要以上の咬合圧で咬んでしまうと、歯茎にダメージが出てきます。我々はここにも注目し、アプローチしなくてはならないと思っております。実際に、どこで作っても入れ歯が合わず、周囲から聞いて受診された方がいましたが、咬合圧のお話をして、積極的にアプローチしただけで、何ら痛みもなく快適に使用できるようになったケースがありました。ただし、習慣を意識して変えることは大変難しいことから、やむを得ず柔らかい素材の入れ歯を作製し快適に過ごしている方もおられます。最悪なのは、これらに耳を傾けず、わがままに「あっち痛いこっち痛い」の繰り返しで、終いには未来院(たぶんよそに行ってしまう)になるケースです。こういう方はどこに行っても、治らないでしょうし、治るチャンスすら失ったと思います。なぜなら、ここまで「咬合圧」に注目して治療を行う歯科医院は少ないからです。少ないからこそ、初めは真に受けてもらえず苦労しますが、患者さんが一度でも癖や習慣を自覚し、意識して変えてみると、劇的に変化が起こる(楽になる)ことが多いので、私は、今後も諦めずに信念を貫き通そうと思っております。
 今回、「恐るべき現代病」と言うテーマで「歯周病」「入れ歯」と絡めたお話をしてきましたが、時代に沿った疾患に対して、時代に沿ったアプローチ方法が、業界全体には必要だと日々感じております。また、「顎関節症」も現代人の習慣や癖と大きく絡み合うこともあるでしょう。私なりにいろいろとノウハウを持って対応しておりますが、企業秘密と言うことで割愛させていただきます。


選ばれる医者 その4

若年者の歯周疾患(これは警告です)

 歯周病は、成人の約8割が罹患していると言われています。
また小児の虫歯は、激減していると言われております。確かにその通りだとお思います。 しかし、日頃臨床の現場で目の当たりにするのは、「歯周病の若年齢化」です。
 歯肉炎(主に歯茎のみの炎症で、歯茎からの出血や腫れはあるものの、骨は痩せていない初期の歯周病)を歯周病の初期の一病態として含めた場合、早くは3歳(乳歯20本が揃った頃)から見られますし、来院患者の小中高校生では、ほとんどがどこかに歯茎の炎症を抱えております。
 業界においてはこの対応が早急に必要だと感じております。しかし、学校検診では、歯茎の炎症に関する項目があるにもかかわらず、奥までしっかりと見えない点や、歯茎の病態を熟知していない経験年数の浅い歯科医師がバイトとして検診を行うと言うことが多い点で、よほど重症でもない限りは、ノーチェックで済まされてしまいます。また、保護者も検診後の紙を見て「虫歯」の本数ばかりに気を取られていることがいまだに多いのが実情で、歯肉炎をさらに見過ごしているのです。実際、虫歯はないけれども歯茎に炎症がある子は、多く存在しております。虫歯を作る(虫歯)菌と、歯茎に炎症を起こす歯周病菌は、全く違う性質の菌だと言うことをご存知だろうか?さらに歯茎から血が出るのは前からあったが、痛くもないので放置しておいたと言うことも良く耳に致します。ブラッシングは毎日しているお子さんがほとんどですが、歯茎対策のブラッシング方法を親子で知らなければ、お子さんの歯茎は治りません。
 幼少期の親子での歯磨きは、お子さんのブラッシング習慣の確立には欠かせません。この時期に誤った(雑な)ブラッシング方法での習慣がついてしまうと、その先なかなか修正がききません。さらに小学校にあがると、好きな時間に間食をし、磨いた後にまた何かを口にする。親も歯磨きについてうるさく言わなくなるし、言っても徐々に言うことをきかなくなる年齢へと達すると、もう家庭内では誰も歯肉炎の憎悪を止められません。
 さらに、虫歯をきっかけに実際に歯科医院を受診しても、主訴である虫歯をすぐに削って治して終了という流れがいまだに残っており、歯肉に目を向けてもらえる機会が少ないようです。(かかりつけ医でこういう事があってはならないと思います。)治ったらまた安心してしまうのですが、そこに詰め物やかぶせ物が入って時点で、歯肉炎のリスクは一気に高まります。歯に人工物が入ると唾液による食渣(食べ物かす、プラーク等)を洗い流す自浄作用(唾液が洗い流してくれる効果)が弱まり、食渣が停滞して虫歯の再発や歯茎の炎症を起こしやすくなります。元々虫歯になりやすいから処置を受けざるを得なかった場所です。そこを忘れてないでしょうか?私が常々言っているように、虫歯になりやすい環境まで変える(患者さん自身が再発防止の技術を身につける)ことこそが真の治療であり治癒であると思います。
 長々と述べましたが、こういった実情が、若年化をより進める原因になっていると考えられます。
 成人の歯周病は8割ですが、高齢者ではその割合が減ってきていると言われております。業界全体の努力と、患者さん自身の努力の結果だと思われます。しかし、真の意味で全体の罹患率を低下させるためには、増加の一途をたどる若年者の歯周疾患対策だと思います。それこそが急務だと感じる毎日でなりません。保護者の方が、お子さんを歯科医院に連れて行った場合、ついでの歯茎も診てもらってください。そして、先ずは保護者の方が歯周病の対策を行ってください。口腔内が無菌状態で生まれる赤ちゃんが、初めに虫歯菌や歯周病菌に感染するのは、両親が口移しであげる食べ物や、かわいさ余ってしてしまう「チュー」なのです。フッ素や予防の意識が高まり、虫歯対策は行われておりますが、歯茎対策は無策に近い状態です。このまま若年者が、成人した頃、ますます歯周病はまん延するでしょう。この警告がどこまで届くか分かりませんが、私なりに戦っていきたいと思います。


選ばれる医者 その5

ダツリは何かの合図かもしれません

 毎日診療に携わっていると、いろいろな症例を目に致します。例えば初診時の主訴が、「つめものが外れた」とか「かぶせ物が土台ごと取れた」と言ったことをよく経験致します。
 私もいろいろ経験いたしましたが、ほとんどの場合、外れるとか取れると言うことは、皆さんにとってマイナスイメージがあるとお思いでしょうけれども、実際には、何らかの兆候や異常を現していることが多いと言えます。
 ただし、これだけは先に言っておきますが、我々歯科医師は皆、はじめから取れやすいようにしているわけではございません。すぐ外れる事がそのまま下手な歯科医師で、外れにくいことが上手な歯科医師という評価にはかならずしもならないと思っております。皆さんにはなかなか理解しにくいと思いますが、下の文章を読んで、少しでも納得していただければと思います。

  実際に取れにくいようにするにはどうしたらよいでしょうか?
答えは簡単です。虫歯に限らず健全な部分も含めてたくさん削り、外れにくい構造を付与し、強い接着力のあるセメントでくっつければいいのです。また前歯の詰め物の場合も同様に、なるべく深く削って、外れにくい構造にしてから詰めるのです。つまり詰め物や金属と歯の接する面積を極力広くすればよいのです。
皆さんこれに賛同できますか?私は絶対にノーです!
虫歯はもちろん削り取らなくてはなりませんが、必要以上に健全な部分を削るわけにはいきません。大概の歯科医師はこのような考えだと思います。この考えが、結果的にどんどん外れやすい方向へと構造変化していくのです。お分かりでしょうか?
 また構造だけではなく、他の要因もダツリに影響いたします。
それらの要素としては、患者さんの口腔衛生状態から発症する虫歯や歯茎の炎症・歯周病さらに、それに伴う歯の動揺、かみ合わせや咬合力(咬む力)・歯ぎしりや食いしばりの強弱・食べ物の嗜好・歯科医師が使用する材料の種類や強度・冠や詰め物の適合具合などです。この中で、適合具合に問題があるのは、医療として問題外です。しかし素人レベルでは分からない場合が多く、歯科医師の良心や技工士の腕に関わる部分なので、実は歯科医院によって、すごく差が生じていることと思います。また材料ですが、やはり高価な接着材料は操作が多少複雑ですが接着力が高いと思います。ただ、一律の保険点数であれば、安い材料で利益を生もうと考えることも有り得ますので、これも歯科医院によって差があると思います。(本来あって欲しくないのですが・・・。)
 ちなみに、当院では人為的なエラーを避けたいと思っているので、場合によっては歯茎の炎症が治まるまで歯や詰め物を入れない場合があります。腫れている歯茎では、かぶせ物や詰め物の適合が確認できない場合があるからです。ただし軽度であれば、歯を入れてからのブラッシングで治るので、そう言った指導をさせてもらっております。次に、かみ合わせの調整についても慎重に行わなくてはなりません。咬めればいいという調整ばかりではなく、機能させるべく調整を行う必要があります。(例えば、歯ぎしりや磨り潰しを行ったときに、強く引っかかってはいけません。)
 以上、削りの部分を除いた要素には、患者さんそれぞれにかなりの個人差があると思われます。初診でその特徴をつかむのはなかなか難しいのですが、経験を積むとそれなりに正しい判断が下せるようになります。従って、虫歯除去を目的とした必要最低限の削りを行った上で、各要素を考慮したさらなる削りをし、詰め方や使用材料を個人に合わせて選択することで、なるべく長く機能させることが必要と考えます。こういう歯科医師が、高い評価を得るべきだと専門的には思います。
ただし、選択の余地がない場合があります。主に差し歯に多いのですが、残存歯質、つまり残った歯の状態や残った歯の量がわずかな場合は、削れる量が決まってしまい、個人差の伴う各要素を考慮しても、形として工夫できない場合があります。これが一番多いダツリの原因です。どの歯科医師も頭を悩ませることでしょう。(と言うことは技術の差が出にくい!)

 少々序論が長くなってしまいましたが、本題に入ります。
外れるのは悪いのかというと、必ずしもそうではありません。たいていの場合何かの兆候であることが多いのです。いろいろ例を挙げてみます。例えば歯に何らかの力学的な無理がかかって外れてしまった場合、そのまま外れなければ、歯が揺れを起こすことが将来考えられます。これは歯周病との併発で直接的に歯を失う原因になりかねません。外れたことでその力となる原因を無くした調整をして入れ直すか、新たな歯を入れて救われる事があります。また無理がかかっているのに外れない場合、歯牙が破折を起こす場合もあります。つまり外れて助かるというケースです。次に、外れたことで、そこに新たに起きている虫歯が発見されるという場合があります。歯と詰め物の接している部分で、虫歯が生じ、柔らかくなることで外れることがあります。外れなければ、いずれ虫歯が進んで病んでいたかも知れません。もしその歯に神経がなかったとすれば、病むことなくどんどん虫歯が進み、いざというときに処置をしても、虫歯を削ると歯や根が残らず、抜歯せざるを得ない状況になる場合もあります。外れて虫歯が見つかって良かったと思うケースです。あと歯周病との絡みであり得るのは、特に長くつなげた銀歯が入っているケースにおいて、つなげた一方が外れている場合があります。つなげた歯の場合、一方の揺れが歯周病により大きくなれば、全体のバランスを崩しダツリしやすくなります。歯周病の進行を暗示してくれるケースです。あと、前歯の差し歯が外れた場合、歯周病で奥歯が安定していないと言うことが良くあります。以前よりも奥歯に揺れを生じれば、前歯にかかる負担は大きくなってきます。奥歯が入れ歯なら、入れ歯の歯がすり減っていたり、入れ歯が緩くて不安定になっていることが良くあります。この場合、入れ歯の前歯や差し歯が外れてこなかったら、入れ歯の不調を見逃すことにもなります。入れ歯を引っ掛けている歯についても、その銀歯のダツリで同様な現象を見つけ出すことが良くあります。
このように、外れて見つかること。新たに分かること。外れた歯とは関係のないところでの異常など、例を挙げればきりがありませんが、数々の兆候を見つかることがあるのです。外れなかったらと思うとゾッとするケースを実際に多く経験します。

  街中で雑誌等も含めて派手に広告している「とある歯科医院(近隣ではありません)」のホームページを読んでいたらこんな事が書いてありました。「同業同士の話では、3年くらいで過去に入れた歯が外れるという話を伺いますが、当院ではもうすぐ開業10年になりますが、一度も自院で入れた歯が外れたことはありません。」と掲載されておりました。いかにも3年で外れるのが下手な歯医者だと言わんとする内容です。これをみて非常に私は憤慨いたしました。これまでの文章をご覧になって、賢い方なら分かると思いますが、こんな恐ろしいことはありません。集患目的の(患者の誤解を招くような中身のないアピールをしているにすぎない)恐ろしい医院だと感じます。特殊なセメントで接着することで、ダツリを防止しているので、外れないそうです。ところが実は、ここの医院でつけた歯が取れたと言って、当院を受診した患者さんを私は三名ほど見ました。そうです。必ずしも取れたと言って同じ医院に行っているとは限らないのです。私が問診したところ、二名は職場が近かったと言うことで受診したようですが、二ヶ月前にかぶせた冠が外れたと言う症例と、半年前にかぶせた冠が外れた、それともう一名は同級生なのでよく分かりますが、2週間前に埋めてもらった歯の詰め物が取れたと言う物でした。(最後の同級生のケースですが、その後当院で埋めなおし、かみ合わせを調整したところ、順調だそうです。当時、外れるような原因の除去を見逃しているとしか考えられません。)

 ホームページで患者目線の広告やアピールをするのは構いませんが、患者さんの誤解(患者さんが一見正しいと思うようなことでも、専門的には矛盾と思われる事)を利用するような悪質な自己アピールだと思います。3年もすれば、該当歯だけではなく、他部の異常も起こるでしょう。また、更に10年もたせるには、該当歯だけではなく、他部位の管理も定期的に行って結果的に10年もっていますと言うふうにアピールすべきでしょう。これなら立派です。ただ実際にダツリしたケースを目にしてしまったので、正直信用できません。

 以上、ダツリは、本来少ないにこしたことはありませんが、やむを得ずダツリした場合、原因が何か存在し、それを更に解決することが大切だと思います。また、定期的な検診を行い、過去のダツリ歴や、ダツリの可能性がある各要素(上述)等、それぞれの患者さんの特徴を捉えた上での長期的な管理が、予後の良い処置だと考えます。その結果、10年ではなく、出来れば一生もたせるようなことを目標に、日々診療すべきでしょう。
ダツリは必ずしも悪ではないというイメージを皆さんには持っていただきたく、「ダツリは何かの合図かも知れません」というテーマで文章を作りましたが、ご理解いただけたでしょうか?本来専門的な歯科医師が、取れないことを自慢するようでは、問題ですね。

<< 前のページに戻る

長内歯科 新川診療所

札幌市北区新川一条5丁目1番36号
TEL:0120-68-0371
TEL/FAX 011-766-7322

    診療時間:
  • 月-木/9:30-13:00,14:30-19:30
  • 金&土/9:30-12:30,14:00-17:00
  • 休診日:第一土・日&祝祭日,開院記念日(9月1日),年次有給日(要確認)