院長メッセージ
■最近多いのは・・・・ | |
最近実に多いのは、自らの咬む力(咬合力)が原因で・・・ 1.歯が割れる 欠ける 2.歯の根っこが割れる 3.頻繁に銀歯や差し歯が外れる 4.歯が痛む 5.歯が揺れる 6.入れ歯で歯茎が痛む 7.入れ歯が壊れる 割れる 8.顎関節が痛む 口を開けにくくなる 9.肩凝り 偏頭痛に悩まされる 10.硬い物が咬めない 精神的に参ってしまう という訴えのある症例です。 もちろん全ての原因が咬合力ではないのですが、主訴と咬合力との間に、大きな因果関係が疑われる場合が多々ありますので、この辺について述べさせてもらいます。 ひとことで「咬合力」といってもいろいろなケースが想定されます。 分かりやすいのは、食事の際に咬むという食べるための行為。間食でガムを?む行為や燻製を食べる行為。他に分かりにくいかも知れませんが、日中、何かに集中している際や、スポーツをしている際に「食いしばる」と言う行為。更に分かりにくいところでは、夜間、寝ている間の「歯ぎしり」や「食いしばり」などをひっくるめて指します。 どれにも共通して言えるのは、下アゴを動かす咬むための筋肉が作用して行う行為だと言うことです。「そんなの当たり前じゃないか?」と思う方も多いかも知れませんが、この筋力がバカに出来ません。上に述べた訴えのように、非常に恐ろしく歯や歯周組織、さらには顎顔面や肩首領域に作用してくる場合があるのです。 筋力がバカに出来ないと申しましたが、よく考えてみてください。この筋肉がしっかりと作用しなければ、動物である我々人間は、食べることが出来ずに死んでしまいます。つまり生きるために最重要な筋肉なのです。従って、個人差はあれど、もの凄い筋力を秘めています。足腰の筋肉と違って、加齢と共にどんどん衰えるというイメージは簡単には成立しません。歯のない高齢の総義歯患者でも、凄い力が作用して、義歯が壊れたり、義歯で咬んでの痛みが取れない場合がございます。 またこの筋肉は、顎顔面領域の各パーツと非常にデリケートなバランスをとっております。そこには歯の咬む面の形態(咬み合わせ)や歯周組織の健康度(歯周病の有無)、歯並び、顎関節の可動域や同部の形態、義歯に触れる歯肉やその下の骨の形状・耐久力、肩首領域の筋肉との調和、その他神経系などなど、挙げ出すときりがありません。つまりこれらのバランスが崩れているところに、強い筋力が作用し続けることで、上記のような異変が生じ始めます。 たとえば、中学生の頃に生えそろった全ての歯(上14本 下14本 計28本の歯)があったとしましょう。その後50歳くらいで、何かの原因によりやむを得ず下の左右の奥歯を二本ずつ失ったとします。中学の頃から50歳までに養われた咬む筋力のまま、下の左右二本ずつの奥歯を失い咬み続けると、確実に残った下の歯の1歯当たりの負担が増えます。義歯で補っても同じ力で咬み続ければ、義歯の痛みが止まりません。痛みに強い歯茎であったとしても、強い圧で押される義歯に触れる歯茎は、早期に痩せて、痛みを伴わないまま適合不良を起こします。そうなると今度は顎関節に障害を与えます。また、下の残された歯は、これまた急激に咬耗し始めます。そこに金属を用いた歯が入っていれば、そこだけは決して咬耗しません。これも顎の関節に負担をかけるばかりか、治療済みの歯が揺れたり痛み始めます。もうこうなると悪循環です。 難しい症例になると「今まで歯医者にかかっているけど治らない。」とおっしゃる患者さんが来院されます。正直、対症療法中心では一時的な良化はあっても根本原因であるいろんな場面で想定される咬合力にアプローチしなければ、いっこうに良くなりません。 当院では、このようなケースで患者さんが来院した場合、まずは話し合いにじっくりと時間をかけます。これだけで30分以上かかることもございます。ですが、患者さんの協力がなければ良化しません。まずは自分の身に何が起こっているかを認識してもらうことから始めております。 中には、どんどん歯が崩壊し、治療が間に合わないケースがございます。いわゆる超難症例です。この場合、私の師である中央区の池田歯科クリニックに行ってもらうこともあります。年間に3名から5名ほどおり、私にはどうすることも出来ない超難症例です。 ある程度改善が図れた賢い患者さん達は、歯科医院を上手に利用し、常に上述のバランスが保てるような状況を保っております。 皆さんも心配でしたら、どうか当院までご相談ください。症状のないうちの受診をお奨め致します。 「子供達のブラッシングについて(仕上げ磨きから自立磨きへ)」 当院でブラッシング指導を受ける子供達は多い。 子供の成長に合わせて、保護者による磨きからお子さんの磨きプラス保護者による磨き(仕上げ磨き)、そしてお子さんだけによる歯磨き(自立磨き)と言う3段階の流れが一般的である。 ただし、それぞれの段階に決まった時期はなく、各ご家庭様々である。 結果的に、お子さんの虫歯が無く、歯茎の炎症(歯肉炎)もない状態をいかに維持するかというのが大事なのであって、それがそのまま自立磨きでも継続的に保たれるのが理想像である。そして、この目的達成のために我々が関与するのであり、保護者の方々の協力が必要になってくるのである。 言葉で表せば非常に単純で簡単に理解できると思いますが、これがなぜか非常に難しく、気づけばハードルの高い目標になってしまっているというのが現実なのです。 では、ハードルを上げてしまう要素にはどのようなことが考えられるでしょうか?たくさんあると思いますが、以下に主なものを羅列してみます。 ・ 乳幼児期の歯磨きを当然のことながら、乳幼児は嫌がる。 ・ 保護者の方が仕事等で忙しく、子供の歯への関心が低くなってしまう。 ・ 小さいうちに糖分の多い飲料やお菓子を与えてしまう。 ・ 下の子が出来て、上の子どころではない。 ・ また、上の子と同じ甘い物を下の子も欲しがり、やむを得ず与えてしまう。 ・年齢が増すと、仕上げ磨きを嫌がるようになる。 ・ 週末の休みや長期間の休みなどで生活習慣が乱れやすい。 ・ 年齢が増すにつれ、親の言うことを聞かなくなる。 ・ 祖父母が親の知らぬ間に必要以上に甘い物を与えてしまう。 ・ 身内や保護者の方の口腔内が健康的ではない。 ・お子さんのブラッシング技術が未熟なまま、自立磨きに移行してしまう。 などなど、挙げていくときりがありません。 つまり、目的達成を邪魔する因子が多すぎて、達成できぬまま不健康への道へと突き進んでしまうのです。 「究極の予防」とは、幼いうちから発病させない。発病因子を作らない事だと思います。感染症が主体の歯科では、内科的疾患や先天性疾患と比べてこれが達成しやすいはずです。だけど難しく、一握りのお子さんしか達成できません。 結局は、全てが後付け。つまりすでに発病してしまってから慌てて予防に取り組んでいるのです。それでもまた、うまく自立磨きへと移行するお子さんは、一握りしかいません。 私は保護者がちょっとした予防への考え方を改めることで、いとも簡単に達成できると信じ、毎日予防に取り組んでおります。「目的達成を邪魔する因子」を親の都合で増やしてはならないと思います。一人の子を持つ親として、子供の自立磨きへいかに導けるか、自らチャレンジしてみようと思っております。 子供を持つ皆さんも一緒に頑張りませんか?
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